最終更新日:2024年8月29日
2023年5月に他社が主催するラフティングツアーで死亡事故が発生し、多くのメディアでも取り上げられました。この事故は、まだみなかみでの営業経験の浅い事業者によるコマーシャルツアーの中で起こったものです。
利根川の諏訪峡の竜ヶ瀬と呼ばれる瀬で転覆し、流されたお客さまが1名行方不明となりました。翌朝からの再捜索で、転覆ポイントから約200メートル下流のポイントで水中内に沈んでいた流木にはさまれた状態で発見され、救助されましたが病院で死亡が確認されました。
アウトドアアクティビティを提供する運営会社には、利用者の安全を守るために重要な役割と責任があります。まず第一に、適切な安全対策を講じることが求められます。これは、乗船前のブリーフィングや、ライフジャケットなどの安全装備の提供を含みます。また、インストラクターの専門教育も欠かせません。彼らは、ラフティングに必要な技術や知識を持ち、冷静に対応できる能力が求められます。運営会社は、これらの人材を適切に育成し、常に最新の安全基準に従った運営を行う必要があります。さらに、天候や水位などの自然条件を常にモニタリングし、安全な状況下でのみアクティビティを行う決定を下す責任もあります。事故を未然に防ぐためには、運営会社の果たす役割は極めて重要です。
1.事前の適切なリスク評価天候や水位の状況を確認し、安全に影響を及ぼす要因を特定します。安全ではないという判断をした場合はツアー中止とすることがあります。水量の多いときは、セーフティーカヤックが必ず同行し、ラフティングボートに先行して川を下ることで、川の状況や障害物などを後続に知らせる役割を担います。また、万が一、落水した場合は、機動力がラフティングボートより勝るカヤックがより早く落水者のもとへ向かうことができます。川の水面下に潜むストレーナーなどの存在に関しても他社との情報共有や、目視による確認をより一層強化し行っています。
2.丁寧なブリーフィングライフジャケットの着用や安全ルールについて詳しく説明します。このプロセスは、参加者自身が自分の安全を意識する重要な機会となります。弊社では、ツアー時間に集合し、ウェットスーツに着替える前に一度、また着替えを終え、ツアーのスタート地点となる川岸においても改めてブリーフィングを行っています。何度も参加している方には「話が長い」と思われることもありますが、絶対に省略できない大切なことだと考えています。
3.ガイドのトレーニングキャニオンズのガイドは定期的に十分なトレーニングをし、緊急時には冷静に対応できるスキルを求めます。まず、基本的なラフティング技術を習得することはもちろん、救助技術や応急処置の知識も身につけることが求められます。これにより、万が一の事態に迅速に対応できる力を養うことができます。加えて、健康状態の確認や装備点検も徹底され、万が一の事態に備えます。キャニオンズのラフティングガイドのトリップリーダー(そのツアーの責任者)は、国際基準の免許を保持しています。
事故後、みなかみ町アウトドア連合会では協議の結果、2023年度は諏訪峡を通過できる水位を4mから3.7mへと引き下げを行った。また、連合会主体で、各社ガイドを集め、レスキュートレーニングを行った。川でのリスクとなりうる障害物や要因を早急に識別するとともに各社で共有できるシステムの構築を行いました。
最後に、業界全体での情報共有も重要です。企業間での事故や安全対策に関する情報交換を行うことで、成功事例を参考にし、各社の取り組みがより効果的になることが期待されています。このように、業界全体が連携して取り組むことで、より安全なラフティング体験が提供されることを目指しています。